金剛農園代表の田中良和です。

私たちは、熊本県八代市の山間部で、甘夏を中心に柑橘を育てています。
圃場は小さく、木々も樹齢を重ねています。決して効率の良い農園ではありません。

それでもこの場所で農業を続けているのは、
この土地、この木々、この環境だからこそ伝えられるものがあると感じているからです。

私たちは、甘夏を「モノ」としてだけでなく、
この場所の空気や時間、育ち方や背景ごと届けたいと考えています。

味や香りは、その入り口にすぎません。
その奥にある何か――たとえば、自然との距離感や、完璧でないことの豊かさ、
あるいは、日本的な感覚や価値観のようなものを、
甘夏という形を通して伝えたいと思っています。

そういう意味で、私たちにとって甘夏は、
この場所やこの考え方を外の世界へ手渡すための「媒介」のような存在です。

いまの農業は、ただ作るだけではなく、
何を届けているのか、何が伝わっているのかが問われる時代だと感じています。
特に、規模を追うことが難しい中山間地域の農業においては、
「何を育てるか」以上に、「何を届けているのか」がより重要になっていると感じています。

だからこそ私たちは、加工品づくりにも取り組んでいます。
それは量を増やすためではなく、この場所やこの甘夏から伝わる意味を、
より届きやすい形に載せ替えるためです。

そして、それを国内だけでなく、海外にも届けていきたいと考えています。
日本の農業や食には、まだきちんと伝えられていない価値があると信じているからです。

2025年12月1日
金剛農園 
代表 田中良和